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赤帽 猫丸運送 いろいろなお手伝い。岡山の赤帽です。

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猫の1 「瀬戸大橋」海原を越えて
 
岡山から、トンネルを抜けると瀬戸大橋だった。岡山からは山伝いに高速道路を走り、児島にてトンネルをくぐるといきなり、
海が開けそして巨大な橋脚、海へと続く高速道路を目にすることができます。
 
世界最大級ともいわれる総全長10キロメートルにも及ぶ巨大構造物瀬戸大橋。これまでに岡山−四国間を100回以上
いや200回以上・・・往復したでしょうか。多いときは週に6往復、ひどいときは1日に2往復ということもありました。岡山
で運送業をしている以上、必ず利用することになります。
 
もちろん宇野−高松間フェリー航路を利用することもありますが、岡山から見て、松山方面のように西側にある場合、また
高松方面でも時間に余裕がないような場合この海を越える橋を渡ることになります。運送業者としては、いつも利用してい
るいつものありふれた高速道路、しかしながらいつまでたっても通行料金の高い・・・。
瀬戸大橋 海峡
この橋には、鉄道も併設されています。ある時、岡山から高松へ電車に乗ってトラックを引き取りにいくという用事で、初めて
利用する機会がありました。ガタンガタン、ゴーッと鉄橋部に差し掛かり、ふと窓から外側の景色に目をやると、そう、まるっ
きり空中を通過しているのです。下の方(もちろん海面です)を覗くと、かなり高い所、確か60メートルか70メートル位の空
を、あたかも飛んでいるかのような錯覚に。
 
いつもは、この海峡をハンドルを握って横断しているため落ち着いて景色を眺めるなんてことはできません。何度も渡り幾度
も見たこの海が、まるで違ったそれも格別な光景にみえるのでした。さすがは多島美あふれる国立公園、瀬戸内海。その
日は、写真と同じような快晴で、なかなか見応えのあるうっとりするような風景でした。
 
JR瀬戸大橋線については、開通当初、列車通過時の騒音問題が一時、話題になっていましたが、解決したのでしょうか。
先日、橋の真下にある下津井の公園で釣り遊びをしたところ、ゴーッと音がするたびに「列車列車」とよろこび、ゴトンゴトン
通過して行く列車をしばし眺めて、ふと、今日の釣果に響くのではと心配するのです。その日、イカの餌木ングが良。
 
そういえば、何かのテレビ番組で、瀬戸大橋建設の歴史のような内容を放送していました。旧国鉄は、貨物列車を走行させ
て、騒音や車両重量による、橋のしなりやたわみ方の具合などを、丹念に何度もテストしていたようです。線路をめり込ませ
ながら、遠くの方から画面にズンズン迫ってくる貨物列車のシーンが放映されていました。また、橋脚のアンカー設置時に
海底に発破を仕掛けて海中爆破し、ズドーンと噴火のような水しぶきのあがる様子。工事関係者に犠牲者がでた日の情景
など(その人は食事代などのツケの清算を、その日いつもと違って済ませていたとか)印象に残る番組でした。
 
そして、開通してしばらくしたのち、岡山県を地盤とする元総理大臣の鶴のひと声で、それまでどういう訳か通過駅であった
児島駅に快速電車を停まらせたことを報じる地元新聞の記事を思い出しました。
 
瀬戸大橋では、雄大な橋の姿、美しい瀬戸内海以外にもいろいろな光景を見物できます。夜遅く、仕事の帰りに通りかかる
ライトアップされていたこともたびたび。また坂出の番の州工業地帯では建造中の大型船舶(恐らくタンカー)や、ものすご
く高い煙突の先からボボーと燃え上がる巨大な炎、瀬戸大橋タワーまた岡山側の鷲羽山ハイランドなどの施設も壮観です。
そしてさらに、海峡中央部辺りを過ぎる頃から、四国の山並み、岡山の風景それぞれの陸地が迫ってきて、圧巻ともいえる
景観を目にすることができます。
 
またある時は、瀬戸大橋下を通過しようとする、艦橋を浮上させて航行する、真っ黒いクジラのような潜水艦を、目撃したこと
もありました。橋の真ん中あたりで、停めてはいけないのに、乗用車から降りて、橋の下をのぞき込んだり、記念撮影をする
家族連れや団体もたびたび。レンタカーの2トンの荷台シートを張り直すために、わざわざ橋の上に停めたこともありました。
そういえば橋を通行止めにしたこのあたりの鉄塔倒壊事件や、与島の隣の本島が数日間燃え続ける山火事などもありまし
た。走行路面が陥没したことや、持ち主は橋上から海に飛びこんだであろう、ぽつんと放置された車もあったようです。
 
しかしそんな風光明媚な瀬戸大橋において、個人的に怖ろしい、余り思い出したくない、非常に厭ーな体験がありました。
その事件の原因は、風です。瀬戸大橋の上というのは、いわば海、抜100メートル近くの拭きさらっしの山地の尾根伝いを
車で走行しているようなものです。風が吹けば直接影響を受けてしまいます。もちろん公団も風速をチェックし各所に電光掲
示板を設置しドライバーに注意をうながしています。
 
風速15メートル位を越すと二輪車は通行止め、車は50キロ速度規制。風速20メートル以上のように台風でもくると通行止
めと、通行規制があります。なお規制の基準は風向や橋上での車両の通行状態を見てから決めるらしく一概に風速の数字
のみでは決定しないようです。
 
台風通過で通行止め。坂出インターで数時間足止めをくったこともありました。もちろん船は欠航。インター入り口周辺には、
大型トラックが何台も列をなし、開通を待っています。そのときは風台風で、台風の進行速度も速く、深夜には通行再開とな
りました。そして、料金所からつぎつぎとなだれ込むように瀬戸大橋に進入すると、なんと海峡部の光景はまるで阪神高速
環状線のようにおびただしい数のトラックが、ヘッドライトまぶしく上下線とも行き交っています。日本の物流支えている?
と、思わずうなった見事な光景でした。
 
赤帽車というのは、軽トラックの荷台に鉄骨の骨組みを取り付け、そこに幌シートをかぶせた簡単な構造をしています。これ
が、まともに風を受けると、まるで凧のように幌が膨らんでしまいます。荷物を積載していれば車全体の重量も増し、少々の
横風でも安定走行できますが、荷台を空にした帰りは、横風の影響をまともに受けてしまいます。
 
これまでも何度か、風のきついときや台風接近時風速10メートルの場合でも、なんとか小刻みにハンドル修正およびギヤ
ダウンなどで注意深く運転して、なんなく難を乗り切ってきました。ところが、つい最近冬のある日、午後から四国に渡り、帰
りの瀬戸大橋に差し掛かったのが、もう日も暮れてしまい辺りもすでに暗く通行量も少なくなった時間帯でした。
 
坂出北から入りふと気がつくと、風が強い。そういえば昼間来るとき、風速10メートル近くの電光計を、ちらりと見た覚えが。
と、ゴゥゴゥゴーッと風のうなり声とともに車体がグラグラッグラリッ。しばらくして電光掲示板にたどりつき数字を見ると風速
15メートル(と記憶。17メートルかも)。西高東低、冬の嵐でした。そして夜になって風もその勢いを増していたのでした。
 
しまったぁ、でもいつもより慎重に運転すれば大丈夫だろう。それに逆走して入り口に戻る訳にいかないし。たかだか10キ
ロメートル普通に走れれば20分そこそこの距離。ガンバレと心に決めてギヤダウン、ところがスピードがでないので、さらに
ギヤダウンそれも俊敏にちょこまかと。風は北西の風やや向かい風。と思うと後ろ?からも、突風のように突き上げる風が
グラーリと車体を揺らします。また橋脚にさしかかると、ふっと風がとまり、右の走行車線にはみ出さないように、左へ左へ
とハンドルを修正しているのが、ブワッと欄干側に吸い込まれるように車が。すぐさま、瞬時にハンドル修正。
 
ようやく海峡中央部。ますます風は強く吹き付け、戻りの風もあり、ハンドルを「左、左、左、左、左」と思うと、風が渦を巻き
ハンドルをグッと握って「右、右、戻し、右」と走行車線と追い越し車線をまたいで走らなければならない状態です。ときどき
乗用車や大型トラックが追い越していきましたが、そのときは、微妙にハンドル調整して走行車線にジワジワと、車を戻し、
通過車両と欄干にもぶつからないようにさらにハンドルを強く握りしめます。さいわい反対車線も含めて通行量も少なく(5台
もいなかったような)また、通りがかった乗用車もダッチロール状態で蛇行運転をする赤帽車を見てビビったことでしょう。
 
風は脈打つようにやってきます。ゴーッ(左から横風)、ブワッーブワッー(このあたり突風渦巻く)、グォー(風向き変わる)、
グォー、グォー(右から吹き付ける)、ゴーッ、ゴッゴッゴーッ(そしてまた左から)そのうち何回かは、車体が大きくクネクネッ
と、タイヤがパンクしたのでないかと思うくらいの衝撃がありました。
 
嗚呼っ、橋から落ちたら死ぬな・・・「瀬戸大橋より車転落初めての死亡事故、車大破、運転手自営業男性は、流され数キ
ロ離れた海中で発見」という翌朝の新聞見出しが頭をよぎり、テレビも来るな・・・きっと。いや今、目撃者もいないだろうから
しばらく漂流して、数日後、残骸、漁船に発見さるってことに・・・。
 
陸地までがなんと遠いこと。まだかまだか、あともうちょっとか、いやまだかと手に汗握りながらようやく下津井の最後の橋
へ。真っ暗の中、港の灯りが見えたら、やたら懐かしく本当にあともうちょっとと感激、そしてトンネルへ。陸地に入ると風も
収まり、はーっとため息、ほうほうの体で児島の料金所で降りました。なお、家に帰るまでの道中、ずっと恐怖心が消えず
頭の中ではあのド・ラ・イ・ブの感覚がいつまでも残っていました。
トンネル 橋 風景 橋下
= 瀬戸大橋 =
 
翌朝、片づけのためにふと赤帽車を見ると、なんと、幌シートの天井がすぽんと抜けていました。元々、左側の幌には以前
立木に引っかかったかぎ裂きにより、穴が空いていましたが、左からの横風が、ここから入り、天井を風圧で押し破ったの
でしょう。幌シート自体はすでに10年経ち、日焼けで傷み、紙のように薄く白くなっていたのでした。
 
もちろん左横のかぎ裂きは補修し、さらにビニールパネル(一畳)で雨よけを施し、天井には、全面2重に幌シートをかぶせ
てせてあったのですが。穴が空いているのにびっくりし、幌シートを補修しなければならなくなったことに、費用面でがっくり
落胆しましたが、しかし、これがもしあの時、天井を突き抜けていなければ、車はいったいどうなっていたのかと考えると、
命拾いしたのかもと、思うのでした。
かぎ裂き左横 天井織り目に沿って抜ける
 
これ以後、風が強いときは、晴天でも空荷の場合必ずフェリーを利用するようになりました。また、岡山では国道2号線、
四国では国道11号線の道路情報板を、日頃からよく確認するようになりました。せめて幹線道路を走らないと、と反省。
 
 
 

 

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