猫の２　「街道」をゆく

猫の2　「街道」をゆく

お江戸日本橋七つ立ち。昔の旅人は、まだ薄暗い午前４時ごろから旅立ちし、高輪辺りで、提灯の火を消したといいます。
早く出発し、次の宿場町まで足下の明るいうちに、到着しておきたいという理由と、早立ちすればそれだけ旅にかかる宿泊
数、つまり宿代を浮かし経費が減らせるという、旅人の知恵でした。

街道。なになに街道という名称で呼ばれる道、道路はたくさんあります。五街道をはじめ、鎌倉街道、伊勢街道、銀山街道、
出雲街道、西国街道、金比羅街道、長崎街道、運ばれた産品名の付いた塩街道（各地に。赤穂－佐用もそう）、鯖街道。
また姫街道、女街道、そして裏街道、出世街道（エリート）、おけら街道（競馬場の帰り道）などなど。なんとか街道まっしぐら
などと言ったりもします。

五街道、徳川幕府が道中奉行の管轄下においた、東海道、中山道、日光街道（道中）、奥州街道（道中）、甲州街道（道中）
をいいます。「くたびれたやつがみつける一里塚」と川柳にもあります東海道五十三次、十辺舎一九の東海道中膝栗毛や、
東海道名所図絵などに当時の街道の風景、様子をのこしています。

「水増し料金」という言葉がありますが、バーやクラブで水割りを薄めに作って客に差し出すということではなく、当時、大井川
などでの川越人足による渡しの料金が、水深によって変わることからきました。人足の胸までの高さを高水、へそ位を中水、
それより下を常水と区分し、人足によっては、わざわざ深い所を選んで高い料金を請求することから、こう言われるようになり
ました。なお猫丸運送では、届け出の統一料金、割増料金なし、見積もり査定（現場によってはお願いも）のため、ありませ
ん。
日本橋の麒麟　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　富士山を越える

ここで一言。お引っ越しのお客様から聞いた話では、合い見積もりとなった相手の悪口を言ったり、決めかねたりすると急に
割り引いたり、年度末割増料金を請求したり、ドタキャンしたり・・・多々。いまだにこの業界は、一昔前のナニです。ﾔﾚﾔﾚ。

古代、街道は律令国家制度のもとで、政治、軍事を司るための交通路（陸路）でした。各所には官吏や通信吏の施設である
駅家（うまや）を設け、東西諸国の行政を支配していました。それとともに、各国の産品の流通、行商人、漂白人の移動も
活発となり、街道から派生する枝道もでき、またその時代の利便性（気候も一因）によって道筋も変更されたりしました。

平安の頃、富士山付近の東海道は、足柄峠を抜け山地沿いに東国に通じていました。このころ富士山の噴火により遮断さ
れ、箱根路が開発されましたが、やはり、足柄路が再開され本道として利用されていました。ところが、鎌倉時代になると、
京都－幕府間を結ぶ海寄りの路、箱根路の開発が進み政治街道として発展することになったのです。

また尾張と京を結ぶルートも、濃尾平野南部の河川の氾濫と、鈴鹿峠の山越えが敬遠され、伊勢路より美濃路の通行が、
利用されていましたが、渡河技術の発達、七里の渡しやおかげ参りなどによる伊勢路の通行が増え、江戸時代には、本道
として鈴鹿を山越えするようになりました。なお、美濃路は、船を敬遠したり、中山道へつなぐ脇道として通行されました。
二見ヶ浦
戦国時代に、人、物、情報の流れは一段と活発化し、街道は軍事的にも整備され、徳川時代に至るのですがこの頃になる
と、街道の役目は幕府と京というように中心地を結ぶためだけでなく、地方と地方をむすぶ交易の路となっていました。運送
で険しい山道や厳しいつらそうな峠道などを通りかかると、昔の人は此処を歩いたんだなと感慨に耽ったりします。

最近では、運送で各地を走り回っておりますと、いろいろな名前を目にします。ロマンチック街道、なんとか歴史街道、おろち
街道、デカンショ街道、ノーベル街道などなど。しまなみ海道、片鉄ロマン街道、ラーメン街道。また、なんとか通りになると、
さらにさまざま。お洒落な名前から、ひったくり通り、野良猫通りまで。

こうした名称は、地図に掲載されてなく、地元の人から聞いたり、通りかかってその看板標識を初めて目にすることになりま
す。デカンショ街道。国道３７２号線。京都より東（名古屋や関東）へ配達に行った帰り、ここをよく通ります。京都市内の国道
１号線を五条通りで、２号線へ曲がらず９号線へ直進し、亀岡市内で３７２号に入ります。

３７２号　赤ライン
そして丹波篠山を抜け、社を抜け、姫路に入り２号線バイパスに入ります。京都－岡山間、所要時間は４時間程度。荷物を
積んでいない時、急がない時は、このルートを通ると、有料道路代を支払わなくてすみます。また、大阪、神戸のような市街
地をほとんど通らないので、気が楽です。以下、以前、道を教えてほしいとリクエストがありましたので詳細を。

篠山周辺、もしくは亀岡から篠山までをデカンショ街道と呼ぶようです。デカンショ節。篠山には、灘の酒造りに欠かせない
丹波杜氏が多く住み、お酒を仕込みながらこの歌がうたわれたようです。実りの秋をすぎたころには、この街道沿いに、名
産の黒豆枝豆が、一束五百円位で何軒も露天売りされています。何体もの鬼の立像のある、湯の花温泉内を通り（酒の館
宮本屋の先の信号を左に。温泉口の看板あり）途中、狭い道やアップダウン多いの峠もありますが、のどかな風景が広がっ
て比較的走りやすく、なにしろ高速料金がいらないのんびりしたところが好きです。

迷いやすい分岐点は、京都方面から、亀岡９号加塚交差点で左に入り、京都縦貫自動車道の高架をくぐりながら右へ（右
折レーン有り、亀岡インター口）しばらく行くと左折化の信号があるのでそこを左に行くと運動公園、湯の花温泉と。温泉内は
３７２号のショートカット道です。温泉内の峠をおり、一時停止を左に抜けたら、道なりに右、峠へカーブ。直進（やや狭い）は
大阪能勢方面の分かれ道なので注意。

以前は篠山までに狭い峠が２カ所ありましたが、最近、天引峠はトンネルになりました。そのほか道の拡張工事も進んでい
るようですね。もう一カ所は天引き峠の手前に。この峠を下る（中央線なし）と橋を渡り左に曲がるとトンネルへ。マビオンでは
３７２号の方が優先のようになっていますが、右からの道がまっすぐ交わる三叉路だったような。

安田の大杉の信号（コンビニがあったような）これを右、そして次の信号をすぐ左で篠山市へ。なおＲ３７２の標識あるので迷
わないと思います。ここの三叉路は左へ。直進は篠山市街地へ入ります。舞鶴道をくぐり、駈け上がりの所に国道１７６号と
の交差点、波賀野、ここを峠に向けて越し、少し下ると古市交差点（右折レーン有り）を右に曲がり、例のＪＲ福知山線の踏
切を越えます。そして、アップダウンのある峠道をいくつか越したり、民家の少ないところをしばらく通り抜けて社へ。

社では道が狭いところもあったので、中国道滝野社インター近くの県道を通ることもありました。距離が遠くなるので迂回路
となります。迷いやすいのは加西市下宮木の交差点。斜め左へ。たいこ屋かなにかドライブインがあったかも。まっすぐ行く
と山陽道姫路東インターです。そのあと姫路市街へ。ここで播但道をくぐった辺り（手前でも可）で左折し、播但道沿いに南に
行くと国道２号線御国野交差点そして、姫路バイパス姫路東へつながります。京都－岡山間を単車でと言われてましたが、
いかがでしょうか。記憶違いの箇所もあるかと思いますので、ぜひ、ご確認を。

宝塚から加古川
また大阪から岡山のルートも、同様に混雑を避けるため、宝塚から三木を抜け、加古川へそしてバイパスへ入る道を通りま
す。国道１７６号を西宮北の天上橋交差点で有馬インター方面へ。つきあたり吉尾の三叉路を南。神戸の４３号線、国道２号
明姫幹線（２５０号）、姫路まで、（姫路東に料金所があったころには、２５０号や２号をそのまま走っていたこと）時と場合に
よっては利用しますが、やはり信号が少ない一車線道路なので、のんきなこちらを。なお海が恋しいときに、須磨、明石海峡
の眺めをと、わざわざ２号線を走ることもあります。

こうした道を通るようになったのは、思い起こせば阪神大震災があったからで、周辺一帯の山道を走り回ったものです。しかし
当時はこうした道も、どこも渋滞で、たくさんの産廃のダンプの列を、よく目にしたのを覚えています。
赤ライン３１４号　青ライン５４号
おろち街道は島根の奥出雲、国道３１４号線またの名を東城街道（広島県東城町－島根県三刀屋町）のことだったと思いま
す。（間違ったらごめんなさい）おろちループと呼ばれるループ橋があるからです。広島県東城町より隣の西條町、そして比婆
山、道後山の間を抜けると、おろちループへ。峠を越えてまた峠の連続です。ＪＲ芸備線の備後落合駅は、スイッチバック式
だったと思います（一度乗車経験）。険しい山地を抜けます。この日は雪の降った後でしたが、峠を越し西條町に入ると大雪
に見舞われ、途中チェーンを装着することになりました。なお国道５４号は出雲神話街道、国道１８１号（首切り峠の美甘村、
新庄村を通る）を出雲街道と呼びます。
＝　おろち街道（帰り）　＝

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